平成19年11月27日

中央教育審議会初等中等教育分科会
教育課程部会 様

全国連合小学校長会長
池 田 芳 和
 

「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」
についての意見

 貴部会が、改正教育基本法や改正学校教育法等を踏まえ、小学校の教育課程の枠組みや各教科等の教育内容についての具体的な改善に向けて精力的に審議を進められていることに対し敬意を表します。標記の件について、全国連合小学校長会(以下 全連小)としての意見をとりまとめましたので、下記により提出致します。

 

学習指導要領改訂の基本的な考え方

(1)

 改訂の基本的な考え方として7項目が挙げられており、これらはこれからの小学校教育にかかわる重要事項であると認識している。「生きる力」については、21世紀に生きる子どもの育成にとって基本となる概念であることから、教職員や保護者等、多くの人々に理念の共有が図れるよう丁寧で分かりやすい説明をしていく必要がある。この基本的な理念の理解を図るために、ホームページ、パンフレットだけでなく多くのメディアを活用し情報提供を行うことが、新教育課程を円滑に編成・実施していく上で大切である。

(2)  基礎的・基本的な知識・技能の指導に関して「重点指導事項例」を提示する考え方については望ましい。扱い方によってマニュアル的になるおそれもあり、各学校現場が混乱しないように、十分にその趣旨を説明していただきたい。
(3)  豊かな心や健やかな体の育成のために「体験的な活動」は大切である。しかし、宿泊をともなう行事として進める場合の諸条件の整備が重要である。また、各地域の実態に応じた体験的な活動ができるようにすべきであり、一律に農村や山村及び漁村などでの活動に限定する必要はない。できるだけ、各地域や学校の実態に応じて実施できるようにしていただきたい。
   
教育課程の基本的な枠組み
(1)  現状の教育課程を改善するため、授業時数を一定程度増加させるのはやむを得ないと考える。また、授業時数の確保を各学校に委ねる方法については、これを歓迎したい。ただし、授業時数の増加は、児童や教職員の負担増にもつながり、そのことが新たな課題を生じる可能性も内在させている。学校では日課表の工夫や教育内容の工夫などを行っているが、国としても人的な条件整備を図り効果があがるようにしていくことが大切だと考える。
(2)  「各学校の責任と現場主義」の項目についてはそのとおりで受け止め、今後、各学校はその責任を自覚していくよう全連小としても努力していきたい。そのためには、国や教育委員会が進めようとしている第三者評価についても実施時期等を考慮し、各学校の努力を支援する施策となるよう工夫していただきたい。
(3)  学校週5日制については、長年の検討の上に実施されたものであり、社会総がかりで児童の健全育成を図る上からも、これを維持することが望ましいと考える。ただし、総合的な学習の時間の一環として土曜日を活用するなど、特別に必要な場合には教員の過重負担にならぬよう、条件整備を図ることが大切である。
   

教育内容に関する主な改善事項

(1)

 伝統や文化に関する教育の充実については、国際社会に生きる日本人としてのアイデンティティを育成する上からも歓迎したい。今後、各学校が地域の特性を生かして実施できるよう、関係機関にも協力をよびかけていただきたい。

(2)  道徳教育の充実については賛成であるが、教科化するには評価や免許状、教員養成等課題も多く専門家による慎重な審議を願いたい。また、裁判員制度の実施も踏まえ法やルールについても道徳的な心情からの育成も検討していただきたい。
(3)  小学校における外国語活動の実施にあたっては、地域や学校による格差が生じぬように特段のご配慮を願いたい。特に、短期的に実施する施策を迅速に進めていただくと同時に、中期的には外国語活動に堪能な小学校教員の養成に努めていただきたい。
(4)

 特別支援教育の全面実施にともない、保護者の理解の難しさや指導の困難さなどの課題が生じている。今後とも、ハード面ソフト面での条件整備を進めていくことが必要である。

 

 

教育条件の整備等

(1)

 教師が子どもと向き合う時間の確保について掲げていただいたことに敬意を表する。各種調査にもあるように、諸課題の対応に追われ一人一人の児童と十分にかかわる時間を確保しにくい状況にある。いじめ、不登校、暴力行為などを未然に防ぐためにも是非、教育条件の整備を進めていただきたい。

(2)  前回の学習指導要領の改訂の際には、いわゆる「学力低下」論が横行し、保護者の中には不安感を抱いた方々も多かった。今次改訂においては、文部科学省はもとより各教育委員会が十分な説明責任を果たし、円滑に実施できるように強く要望する。
(3)  全国学力調査の活用については、今後、実施上の課題を慎重に分析し、その必要性や方法・内容を常に検討する姿勢を保持していただきたい。