TOP全連小の主張諸調査の分析校長の「教育経営」方略
 各県校長会
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3 各教科の分析・考察
(3)  ある程度「時代の間隔」が狭く,しかも複雑な要素を持った時代内容の事象になると知識・理解,思考・判断が十分でない
 1931年から1951年までの年表をもとにして,「中国の北京の郊外で日本軍と中国軍がしょうとつして戦争が中国各地に広がっていった」記述を,1931年の満州事変,1937年の日華事変等から選ぶ思考・判断の問題では,設定通過率より9.8ポイント低い40.2%の通過率になっている。更に,1939年の第二次世界大戦勃発や1941年の太平洋戦争開始等の年表の出来事の中から「日本軍はハワイのアメリカ軍基地などをこうげきし,アメリカ合衆国,イギリスなどの国々とも戦争を始めた」と関連する出来事を選ぶ思考・判断の問題についても,設定通過率を下回り57.5%となっている(資料2)。
 また,「私は,外務大臣として外国人を日本で裁判できるように条約を改正した」の記述と関係する人物を,陸奥宗光や伊藤博文,板垣退助,大隈重信ら6人から選ぶ知識・理解の問題では,設定通過率より10.1ポイント低く,前回よりも低い39.9%となっている(資料3)。これは,歴史的事実を着実に定着させる歴史学習が十分ではないという証左である。したがって,今後は,これまでと同様,思考・判断や資料活用場面を多く取り入れ,人物と業績,年代,時代背景,周辺の人物との関連などが総合的に把握・理解される学習を進める一方,できる限り「人」が時代の中に特徴的に位置付けられ,児童が歴史的な展開,スト−リ−性に興味・関心をもつことができるような学習活動を工夫し,その中で知識・理解を確実なものにしていく「歴史学習」を展開していくことが肝要である。
(4)  政治・国際理解に関しては,身近な存在や体験をベースにしたものは理解度が高いが,抽象度の高い事象に関する理解や資料活用力は十分でない
 世界地図の中から,中国やアメリカの位置を問う問題やオリンピックの説明として当てはまるものを四つの選択肢の中から選ぶ問題は,設定通過率より上回っている。しかし,青年海外協力隊の目的として当てはまるものを選ぶ問題や,「日本で勉強している外国人留学生」と「各国に対する日本の経済援助」の棒グラフから言えることを選ぶ問題では,設定通過率を下回っており,特に,青年海外協力隊の目的については設定通過率を11.4ポイントも下回っている。これは,こうした出来事に対して身近な経験や情報も少なく,関心があまり高くないことによるものと思われる。また,複数の資料からの読みとりに関しては,「日本で勉強している外国人留学生」のグラフが国費と私費にわかれ,国費留学生が非常に少ないことや「各国に対する日本の経済援助」のグラフに示された援助先の国名が多く,それらの国々が世界のどの地域に位置しているのかがとらえられていないこと,両者の資料を関連づけて読みとること等が不十分であることから正解に至らなかった可能性が考えられる(資料4)。政治や国際理解に関する出来事については,日常生活との関連や統計資料による読みとりなどを通して関心を高めさせ,自分の考え・課題をもちながら自分とのかかわりを発見できるような学習を作り出していくようにしたい。
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