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3 各教科の分析・考察
 この設問は,てこのきまりに基づいて,てこ実験器を用いて位置と重さの関係を計算で導き出すことができるかどうかを見るものである。設問では,(1)で数値だけ答えさせたものを,てこがつり合っている場合について「支点からの距離と重さの関係」を計算によって求めさせるものである。先立つ(1)の設定通過率に対する通過率をみても,65.0−80=−15.0(%)で,既にかなり良くない結果である。
 この設問の単元「てこのはたらき」では,てこ実験機を使って時間をかけ,一人一人が納得のいくまで実験を行い,てこのつり合いについて,自ら規則性を見つけていく過程を踏ませることが容易でもあり,実際もよく行われている。そして,それらの実験を繰り返し行うなかで,変数となる条件を意識し,支点からの距離と重さの関係が明確に認識できるような実験や記録を工夫し,行うことも比較的よく行われている。しかし,実際に児童が発見的に規則性を見つけられるような活動を行い,天秤には,数式で表すことができるような決まりのあることを発見すれば,学習が終了という例が多く見受けられることも事実である。規則性についての定性的な理解に止まるのである。この結果からみれば,今後は,そこに止まることなく,更に実際に天秤には数値的に安定した関係がみられるのか,確認する定量的な実験を行うなどの学習活動の工夫が必要と考えられる。

B11 (1) 地球と宇宙  {評価の観点}科学的な思考
   {設定通過率}60% {通過率}44.2%  −15.8%

 設問は,地面に垂直に立てた棒の影の位置の変化により太陽の動きを判断するとともに,その判断の根拠を再生することができるかどうかを見るものである。意識さえすれば,日常的に観察のできる事象でもあるが,児童にとっては,遙かに遠く広い宇宙空間の太陽の動きと,自分の足下の影の動きを関係づけることは,むずかしいことである。しかし,多くの教員には,このことについて認識されていないようにも思われる。
 そのため,実際に多くの学級で設問のような観察器具を作っての観察などの活動を行ってはいても,空間認識の変容に導くまでの指導にはなっていないものと考えられる。今後,児童がもっている天体についての見方や考え方を明らかにしながら,その変容を迫るような学習活動の工夫が必要だと考えられる。机上で平面的に表現されているもので抽象的に理解させるのではなく,体感などもさせながら具体的な学習経験を積み上げ,児童自らが創る知として身に付けることができるように配慮したいものである。
 
 C 同一問題(全29項目)の通過率の比較(全29項目)
 
・前回を有意に上回るもの…………………8項目
・前回と有意に差のないもの………………8項目
・前回を有意に下回るもの…………………13項目
 {通過率の平均} (前回)71.8%  (今回)71.1%
ここでは,前回を有意に上回る項目の中の1つと前回を有意に下回る項目の中の1つを対象として分析・考察する。
 
A12 (2) 地球と宇宙 {評価の観点}科学的な思考
{設定通過率}50% {前回通過率}44.1%(公立) {今回通過率}49.5%(公立)
 
 設問は,月の満ち欠けについての実験装置の仕組みを解釈し,月・地球・太陽の位置関係から月の満ち欠けという現象を考えることができるかどうかを見るものである。この天体についての学習では,実際に直接手にとって観察・実験することができない対象を,間接的な静的な観察という手法によって調べていくことになる。また,月の観察は,夜行うということもあって,家庭学習が主となりやすく,その定着もむずかしい学習活動である。そのため,ややもすると,ただ教科書の図などを中心に知識・理解を求めるだけの学習に陥りやすい。今後は,この設問に取り上げられているような具体的な教材・教具等を利用して,児童が具体物の操作などの活動によって理解を深められるよう工夫した学習を進めることも大切であろう。
 
C8 (1) 物質とエネルギー {評価の観点}科学的な思考
{設定通過率}60%{前回通過率}64.8%(公立){今回通過率}58.8%(公立)
 
 設問は,道具の支点・力点・作用点の各点を抽象化するとともに,帰納的に一般化 することができるかどうかを見るものである。「てこのはたらき」の学習において,実際の生活の中にある道具の支点・力点・作用点について考える機会があるが,近年の生活では多くの児童にとっては,日常生活の中でもほとんど使うことがない道具である。実際の使い方をイメージすることすらむずかしかったものと考えられる。今後,学習活動の中で,実際に使う体験的な活動を行うとともに,児童が支点・力点・作用点という用語を通して道具のよさを理解していけるような活動の工夫も大切であろう。
 

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