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A7 (1) 物質とエネルギー {観点}観察実験の技能・表現
{設定通過率}60% {通過率}37.3% |
この設問では,電磁石の磁力を強くするための条件について,変数を固定するための実験装置を比較するとともに,その根拠について考察することができているかを見ている。電磁石を強くするための実験の計画をたてるという時に,必ず一人一人が考えなくてはならないことである。電磁石を強くするには,乾電池の数や導線の巻き数を増やす,導線を太く,鉄芯を太くするなどが考えられる。この中で電流を強くする観点で調べるためのふさわしい方法を選択できるかをみているのであるが,「電流を強くする」という問と実際に試してみたこともあるであろう「電池の数を増やす」という具体的な操作とを結びつけて考えることができなかった児童が多かったものと思われる。
この調査結果からは,今後,条件を制御しながら計画的に目的に合った実験の方法について,考えたり,情報交換等により吟味したり,実験を行い確かめたりしていくという学習の過程を一層重視することが必要と考えられる。 |
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B1 (4) 生物とその環境 {観点}科学的思考
{設定通過率}60% {通過率}26.8% |
この設問では,人の呼気と吸気に含まれている二酸化炭素と酸素の割合の変化について気体検知管から読み取るとともに,その結果から呼吸の仕組みについて考察することができ,肺の働きから呼気と吸気や肺胞の周りの毛細血管の血中に含まれる酸素と二酸化炭素の量的な変化について類推することができるかを見ている。
ところで,この(4)の問に解答するためには,先の設問である(2)や(3)の資料が示している酸素,二酸化炭素の量の相違を読みとり(4)の図が示すこととを結びつけ,多面的に解釈し結論を出さなければならない。つまり,長い文章の意味を読み取ったり,同一紙面上にないデータを見直したり,図が示す事象を想像したりして,思考・判断するという第6学年の児童にとっては,質的にかなり高度な設問だと言える。
一方,この設問の問かけの流れは,児童が学習活動として,実際に問題を解決していく過程を想定しているとも言える。日々の授業の中で,思考活動と観察・実験の結果,資料等をどう整理し,表現活動等を通して,多面的に考え結論を導きだすように指導してきたのか,科学的な思考力をどのように育ててきたのかが問われている場面である。今後の改善が求められる点のひとつとも言えよう。 |
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C9 (1) 地球と宇宙 {観点}自然事象についての知識・理解
{設定通過率}60% {通過率}53.7% |
この設問では,星の色や明るさについての知識を再生し,星を同定したり記録に表したりすることができるかどうかを見ている。具体的には,夕方星空を観察したときに児童なりにもちがちな素朴な見方や考え方が,具体的な観察・実験等を中心とした問題解決の学習活動を通して,いかに変容したかを見ているのである。
誤答をみてみると,(1)の星の見える高さがちがうから23.8% Cの星の光りだす時間がちがうから17.4% Aの星の色がちがうから4.4%である。これらは,児童の素朴な見方をそのまま現しており,学習による変容がなかったことを示していると考えられる。言い換えれば,学習活動として,実際の星空観察をしたときの様子の記録や話し合いなどの機会が大切なことが,明らかになったということである。今後,自己の感覚を大切にした観察・実験と他の情報とを確かに関係付けることにより宇宙の時間的・空間的な広がりについて実感できるような学習の展開の工夫が重要と考えられる。 |